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「き、きっしーさん!? その髪!? 何があったの!?」




翌日からは夏休みということもあり、ずいぶんと浮かれた雰囲気の漂う教室。

そこへ悠々と入ってきた私を見て、葉澄は驚愕の声を上げた。

今日も当然のようにうちのクラスへ来て葉澄と談笑していた奏多くんまでも目を見開いている。

というのも……




「似合うでしょ、これも」


「似合うけど! でも、あんなに綺麗なウエーブヘアだったのに!」




昨日まで背中を覆うくらいの長さだった私の髪は、肩上でばっさりと切りそろえられていた。




「実は鷹司がうちからいなくなってね。だから思い切ってばっさりいったの」


「え……? いなくなった……?」


「そう。二週間ぐらい前に」


「え、え、えっとつまり、きっしーさんは失恋したから髪を切るなんていうベタなことを……?」


「どうしてそうなるのよ。私も他の使用人も、鷹司ほど上手く髪の手入れができないから、もう面倒だし切っちゃったの」