御園さんは軽やかにハンドルを切りながら答える。



「当時周りからはずいぶん侮られていた僕に、鷹司さんは御園グループ代表に相応しい振る舞いを一から叩き込んでくれたんです。おかげで自分の二倍三倍生きている人たち相手でも公平に渡り合えるようになりました。だから今僕がこの地位にいられるのは彼のおかげ」




頭の中に蘇ったのは、いつの日か弟の累が語っていた、鷹司についての噂。

『ある家の新しい当主は、若いせいで親戚や関係者から舐められてたんだけど、鷹司さんが数か月仕えただけで、その当主の地位を盤石なものにしたらしい』

これは御園さんのことを指していたのか。思いがけず話が繋がった。




「まいさん、鷹司さんの話をするときが一番楽しそうですね」


「え、そんなこと……」




その後も色々話を聞きだしていると、御園さんは苦笑いした。

全く自覚が無かった。思わず動きが固まる。