「そういえばこの前、鷹司が私と御園さんは話が合うだろうって予言してたわね……。本当だったみたい」



美術館を出て車に戻った後、ふと思い出して呟いた。

あの男の予言は基本外れない。




「へえ、鷹司さんがそんなことを」




御園さんは笑いながら車を発進させる。今日はこのまま家まで送り届けてくれるそうだ。


行きと同様、私は運転している御園さん相手にどの程度話しかけていいものかと迷いつつ言った。




「そういえば御園さんは、この前鷹司のことを『恩人』って言っていたわね。あれはどういう意味だったの?」




それを聞いたのはパーティーで出会ったあの日のこと。

聞いたときにも気になっていたけれど、婚約の話がそれ以上に衝撃だったので忘れていた。




「ああ……。僕が彼を雇っていたのは、父が突然亡くなって、何の覚悟もないままグループを継がなければならなくなったときのことだったんですけど──」