いつも通りの胡散臭い笑みを貼り付けた鷹司。

何だか一気にほっとした。


突然会話に入り込んできたこの執事を見て、御園さんは──



「ああ、鷹司さんじゃないか。久しぶりだね」



嬉しそうに表情を緩めた。

鷹司もそれに対して恭しく礼をする。




「雄一様におかれましても、お変わりないようで何よりでございます」


「そっか。鷹司さんは今、岸井さんの家で働いているんだね」


「ええ。まいお嬢様の専属執事としてお仕えしております」




……何かしら、この数年ぶりに会った同級生みたいな空気。

私の視線を受けて鷹司は説明する。




「御園雄一様は、わたくしがお嬢様にお仕えする一年ほど前にお仕えしていたお方です」


「そうなんです。たったの半年間でしたけど、今僕が御園家の当主として何とかやっていけているのは鷹司さんのおかげ。いわば恩人です」


「いえ、わたくしはあくまで少し手助けをしただけですので。間違いなく貴方の実力でございますよ」