「よく買う雑誌の専属モデルだったんだよね……本物、可愛すぎて見てるだけで目が潤うなあ」


「そう、良かったわね」


「今後こんなチャンスないだろうし……決めた、私、麗華ちゃんに話しかけにいってみる!」


「え!?ちょっと」




制止する間もなく、カップに残ったババロアを飲み干すようにして片付けた葉澄は、スカートを翻して原麗華の方へ向かっていく。




「前から思っていたけれど……あの子、心臓強いわよね」




普通、思いがけず憧れの芸能人を前にして、「よし、話しかけにいこう!」となるものだろうか。


そう思いながらふと視線を落とす。

床に何か落ちている。

拾い上げてみると、それは葉澄がドレスに合わせて付けていたはずの髪飾りだった。原麗華に気をとられて、落としたことに気付いていないらしい。




「まったく。鷹司、憧れのモデルと話せて浮かれてるあの子に渡してきて」


「承知いたしました」