葉澄に聞かれて、私は「まあ……」と肩をすくめてみせる。




「そこまで好きな色ってわけじゃないし」


「可愛いのに! でもそっか、きっしーさんは青紫が好きなんだね」


「え?」


「今日着てるドレス、綺麗な青紫だから。遊びに行ったとき部屋着にしてたワンピースもこんな色だったし」


「これは別に……好きな色だからってわけじゃ……」




私は、一歩後ろに控える鷹司をちらりと見る。

お嬢様には紫がかった青が似合う。鷹司にそう言われて以来、アクセサリーにしても小物にしても、私はいつもこの色を選んでしまう。

似合う、と褒めてくれることを期待して。


鷹司は私の視線を受けても特に反応を示さない。もしかしたら自分が言ったことをもう忘れているかもしれない。




「あ、このミルクプリン美味しい! きっしーさんも食べる?」




葉澄の興味が、ドレスからまた食べ物へと移った。

彼女が手に持つのは、透明なカップに入れられた、白くつるりとした物体。