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社交場というのはぱっと見華やかだけれど、蓋を開けてみればドロドロとした醜い空間だ。


人々は見栄を張り合い、力のある家と関係づくりのために媚びへつらう。

見栄を張る方は私も割と得意だけれど、媚びたり媚びられたりするのは嫌い。だからこういうパーティーはすごく嫌い。


──だけど今日に限っては、そんなパーティーでもそこまで悪感情がなかった。




「きっしーさん! あっちのスイーツがすごく魅力的なんだけど、あれも自由に食べていいの!?」


「ビュッフェスタイルなんだから好きなだけ食べたら良いんじゃない?」




お父様の会社とも多大な縁のある会社が主催する社交パーティー。

高級ホテルのホールに並ぶ三ツ星シェフの料理に目を輝かせるのは、レモン色のドレスに身を包んだ葉澄だ。


社交パーティーなんて縁が無さそうな庶民の娘がどうしてこの場にいるのかというと……話は中間テストの前、葉澄と奏多くんがテスト勉強のためにうちへ来た日に遡る。