まったくどいつもこいつも!!

私はやっとのことで鷹司を押しのけて立ち上がると、皺が寄った制服を軽く払い、乱れた髪に手櫛をかける。




「で、何? あなたたちもう帰るの?」


「あ、うん。ここから駅までけっこうあるし、あんまり暗くなるとお母さんに心配されるから」


「あのねえ。行きは車に乗せてきたのに帰りは勝手に帰れなんて言うわけないでしょう。あんたも奏多くんもちゃんと送らせるわよ」


「でも悪いし……」


「香田様。お嬢様は『帰りは車でちゃんと送り届けるから、まだもうちょっといてよ』とおっしゃっているのですよ」


「い、言ってないでしょそんなこと! 一言も!」


「えへへ、じゃあお言葉に甘えてもうちょっとだけ! あ、じゃあせっかくだし、柳沢くんには内緒できっしーさんの部屋見せてほしいな」


「ああもう、勝手にして!」




葉澄が後ろから追ってくる気配を感じながら、わざとらしく足音をたてて自分の部屋へと向かったのだった。