鷹司は、それから十分もしないうちに戻ってきた。

手にいくつかの本を抱え、さらにホワイトボードを転がしている。ホワイトボードなんてどこにあったのかしら。




「参考書をお持ちいたしました。あと、お嬢様用にお作りした、今回のテスト範囲の要点をまとめた資料をお二人の分も印刷いたしました。よろしければお使いください」


「わ、すごい! ありがとうございます」


「自習されるとのことでしたが、よろしければわたくしに簡単な授業をさせていただけませんか」


「鷹司、余計なことしなくていいわ」


「いいじゃんきっしーさん、教えてもらおう! 少なくとも柳沢くんよりはスパルタじゃなさそうだし」




勉強するという名目ながら、何となくわいわい楽しい時間を過ごせるような気がしていたのに。私はむっとして唇を尖らせる。

鷹司に授業をされたのでは、ただいつも通りの勉強の時間に二人が加わっただけじゃないの。