「ようこそおいでくださいました。香田様、柳沢様」




授業が終わった後、そのまま私を迎えにきた車に一緒に乗ってきた二人。

屋敷の入り口で待機していた鷹司に出迎えられ、実に良い反応を示してくれた。




「や、ややや柳沢くんっ……し、執事! 本物の執事……!」


「うわ、実在するんだ執事って。ていうかこの家本当に広いな……面積的には玄関だけで小さな一軒家が立ちそう……」


「二人とも上がって。鷹司、お茶の用意できてるでしょ? すぐに持ってきてちょうだい」


「承知いたしました」





鷹司は、いつものような無駄口を挟まない「完璧な執事バージョン」で二人に対応する。これは私以外の人の前に出るとき用の姿だ。


それにしても、他の人の前ではここまでただの優秀で完璧な執事として振る舞えるのね。隙があれば主に甘い言葉やちょっとヤバい言葉をささやいてくる変態執事には見えないわ。さすが──



……いやいやいや待ちなさい。普段から私の前でもそうやって振る舞いなさいよ。