「えへへ、無事に前後だったねきっしーさん!」




新しい教室の黒板に貼りだされていた座席表を確認すると、窓際から二番目の列で、私は後ろから二番目、葉澄は一番後ろの席だった。

葉澄は後ろから身を乗り出して話しかけてくる。




「あっ、そういえば私と柳沢くんからのホワイトデーのお返し、気に入ってくれた?」


「ああ……あれ、選んだの貴女でしょう」


「え、何でわかるの?」


「普通に考えて、奏多くんがホワイトデーに駄菓子の詰め合わせなんて選ぶわけないもの」




3月14日、奏多くんと葉澄の連名で渡された大きな袋。

中に入っていたのは棒状のスナック菓子だとか、透明なケースに入ったグミだか飴だかわからない四角いカラフルな物体だとか、ヨーグルトの名を冠しながら味が全くヨーグルトではない食べ物だとか。とにかく大量に詰め込まれていた。




「いやあ、あんまりにも高いチョコもらっちゃったから、同じような値段のもの買うのはなかなか厳しくて……。それならせめて、きっしーさんが食べたことなさそうなものをお返しにしようって話になったの」