「葉澄~! クラス離れちゃったわね! ショック!」


「なっちゃん」




葉澄がなっちゃんと呼んだのは、髪を金に近い茶色に染め、濃いメイクをした派手な女子生徒。

私はあまり関わったことのないタイプだ。確か中山さんといったはず。


清楚でふんわりとした雰囲気の葉澄とは全く違う人種に見えるけれど、どうやら仲が良いらしい。クラスが離れても遊びに行くと約束をしている。


……クラスが離れた友人たちが誰一人として声を掛けてこない私とは大違いだ。同性にも愛される、これぞヒロイン。


そんなことを思っていると、葉澄とあれこれ話していた中山さんと目が合った。




「葉澄、岸井さんと同じクラスなの?」




そう言う彼女が私に向ける目は、完全に敵を見る目だった。


どうしてそう敵視されるのか考えて、はっとする。

彼女は、私がかつて葉澄に嫌がらせをしていたことを知っているのだ。




「どこのお嬢様だか知らないけど、今度葉澄に何かしたら許さないから」