「ああ、そうだ。どちらかが一方的に思っていても、時間が経てば番の関係は無効になるからな」

「それじゃ、どうするつもりなの？　このまま仁愛を諦めるの？」


険しい表情を浮かべる美琴。


「もし豹がそうするなら、俺が仁愛ちゃんを口説こうかな」


大牙の言葉に、俺はイラッとして眉をひそめた。


こいつは、何を言ってるんだ？

冗談でもそんなこと言われると、さすがにムカつく。


「おい、誰が仁愛のこと諦めるって言った？　そんなことするわけないだろ。やっと見つけた俺の運命の番なんだから」


こんなにも強く惹かれる女に出会ったのは、生まれて初めてだ。

運命の番ならなおさら、諦められるはずがない。


「ですよね……」


さすがにマズいと思ったのか、苦笑いを浮かべる大牙。


大牙の言葉で火がついた俺は、改めて実感した。

俺は自分の人生をかけてでも、仁愛が欲しいと。

誰にも奪われたくない。


「ゆっくりと時間をかけてでも、絶対に仁愛の心を手に入れてやるよ」


だから、目が覚めたら覚悟しとけよ……仁愛。