しばらくして、美琴と瑚依が俺の頼んだ仕事を終えて保健室にやってきた。


「ふたりとも、急に悪かったな。ご苦労だった」

「大丈夫だよ、豹くん」

「あれから仁愛の様子はどう?」

「今はヒートが収まっていて、ぐっすり寝てるよ。環境の変化でストレスもかなりあったみたいだけどね」


俺の代わりに、大牙が今の仁愛の様子をふたりに伝える。


庶民の仁愛が、俺たちセレブの環境に慣れないのも無理はない。

そのうえ、いきなり自分が絶滅危惧種のΩ(オメガ)だって知らされたんだ。

精神的にもかなり負荷がかかっていてもおかしくはない。


「そう。でも、大事に至らなくてよかったわ」


美琴が胸をなでおろすと、瑚依と大牙もホッと一息ついた。