「仁愛っ!」


我に返ると、仁愛が涙を流しながら意識を失っていた。

泣いているのか……。


「仁愛……」


俺は優しく彼女の頬に触れて、流れる涙を拭う。


仁愛が自分から俺を求めたのは、ただの本能からだ。

そこには、仁愛の心は一切ない。

運命の番なのに、仁愛が俺に対して拒絶や絶望の匂いをさせていることが、すごく悔しい。

こんなはずじゃなかったのに……。


「ごめん、仁愛……」


心の中で深く反省しながら、俺は仁愛の体を抱きあげて、保健室へ運ぶ。


その道中で、美琴、瑚依、大牙と出くわした。


俺たちに気づくと、みんなが血相を変えてこちらへ駆け寄る。