――ギュッ……。


襲われそうになっていた仁愛を抱きしめて、ふたりの男から引き離す。


「おいっ! 誰の許可を得て、コイツに触ってんだよっ!」


俺が怒鳴ると、ふたりの男の顔がだんだんと青白くなった。


「み、雅様……」

「これは、その……」


Ω(オメガ)のフェロモンに当てられて我を失っていたふたりが、α(アルファ)のフェロモンで正気を取り戻したようだ。


「コイツは、お前らみたいなβ(ベータ)が簡単に触れていいような女じゃねぇんだよ」


やっと見つけた運命の番なんだ。

他の奴らに取られてたまるかよ。


仁愛の肩をギュッと抱きしめて、ふたりに見せつける。


「家ごと消されたくなかったら、二度とコイツに手を出すな。他の奴らにも伝えておけ」


最後のとどめと言わんばかりに、俺が一喝(いっかつ)すると――。


「は、はいっ!」

「ど、どうもすみませんでしたっ!」


――ふたりの男は、一目散にこの場を去っていった。