「αはβと結ばれることがあるの?」
「あぁ。αと同じ特性を持ったβならαと結ばれる可能性は高い」
αは必ずしも運命の番と結ばれるとは限らないんだ。
「そもそも、運命の番と出会える確率は極めて低い。だから、多くは運命の番と出会えないまま生涯を終えることになる」
運命の番を結べる性は、αよりも希少種で、絶滅危惧種とも呼ばれているのだから、当然といえば当然なのかもしれない。
「でも、“俺の運命の番”は……“今、目の前にいる”」
野獣様と目が合って、背筋が凍る。
「ま、待って! “運命の番”はαとβの間では発生しないんでしょ? だったら、私はあんたの“運命の番”にはなれないはずよ!」
私は一般家庭で普通に育った、ただのβ。
当然、αの性なんて持っているわけがない。
「お前……自分の第二の性をわかってないのか?」
「私はβよ。この学園の図書館にある第二の性の書物と文献には、そう書いてあったから」
それなのに、どうしてこの男は私のことを“運命の番”だと言い張るのだろうか。
授業で学んだことがあるなら、私とそういう関係になれないことは知っているはずだ。
どうすれば、私がβだとわかってもらえるのか。
頭をフル回転させていると、野獣様からとんでもないことを告げられた。