「豹様、お言葉ですが……もしこの方が“ド庶民”なのであれば、豹様にふさわしいとは到底思えませんわ」


ひとりのご令嬢が野獣様に意見すると、周りが「そうよ!」と口々に声を上げる。


「ふーん……要するに、仁愛が俺の隣に立つのにふさわしかったら文句ねぇんだよな?」

「え、えぇ……それは――」

「だったら――」

「キャッ!」


突然、野獣様に抱き上げられて足が宙に浮く。


「――今日の全校集会で、コイツが俺の隣に立つのにふさわしいって証明してやるよ」


そう言い放つと、野獣様はそのまま教室を出ていった。


……って!

いったい私をどこに連れて行く気なのよっ!