もしかして、“例外”ってあったりするのかな?

いやいや、あってもらっては困る。

これ以上、私はあんなサイテークズ男と関わりたくないのよ。

このことはもう忘れて、気分転換に本を読もう。


教室で本を読んでいると、突然ご令嬢たちの甲高い声が聞こえてきた。


「きゃあぁぁぁ〜っ!!」


両手に花束のようにご令嬢たちを引き連れて、教室に入ってきた野獣様。

見つからないように、本で顔を隠して身をひそめる。

いつもなら頭がキンキンする声にうんざりするけれど、今日は特別に許す。

だから、そのままずっとその男を引きつけておいて!


「あぁーっ! 仁愛ちゃんだっ!」


――ギクッ……。


予想もしなかった人物のおかげで、私の願いは無惨(むざん)にも打ち(くだ)かれた。


えっ!?

どうしてチャラ男くんがうちのクラスに!?