α(アルファ)Ω(オメガ)には、それぞれ“ラット”と“ヒート”と呼ばれる発情期がある。


ヒートはΩ(オメガ)の意思に関係なく大量のフェロモンを放出し、これがα(アルファ)のラットを引き起こす。

ラットが起こると、α(アルファ)Ω(オメガ)に対する支配欲や独占欲が強まる。

ヒートの期間は3ヶ月に1度、約1週間続く。

過去には、ヒートの影響でトラブルが発生しやすかったことから、その期間中のΩ(オメガ)は外出を禁止されていた。

けれど、現在では人類の進化に(ともな)って厳しい制限はなくなり、Ω(オメガ)α(アルファ)と同じくらいの知能を持つようになったと言われている。


ちなみに、β(ベータ)に発情期がなく、フェロモンを出さない。

ただし、ヒートとラットの影響を受けることがある。


学園の図書館にある“第二の性”の文献や書物には、これらの情報が一貫して記されていた。


私が調べた限りでは、“運命の番”になれるのは“α(アルファ)”と“Ω(オメガ)”だけ。

つまり、“β(ベータ)”は“運命の番”にはなれない。

それなのに、どうして野獣様は私に“運命の番”だって言ったんだろう――。


もっと第二の性についての情報が欲しいのに、その存在が明らかになったのはここ最近のことだから、一般的にその情報が出回っていないみたい。

そのためなのか、第二の性に関する文献や書物はすべて貸出不可で、図書館でしか読めないようになっている。