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寝ぼけ眼をこすりながら、リビングへと向かう。
すると、そこには見慣れた3人の姿があった。
「豹、やっと目を覚ましたのね」
そう言って、待ちくたびれた表情を浮かべていたのは、美琴だ。
狛犬財閥の令嬢で、美琴が手がけるコスメブランド『PoppyBelle』は、国内だけでなく、美容大国でも高く評価されている。
「おはよう、豹くん」
続いて、無邪気な笑みで俺にあいさつしたのは、瑚依だ。
兎野財閥の令嬢で、リラクゼーションの研究をしている。
瑚依は心理学にも深い知識を持っていて、その研究論文は海外の有名大学でも一目置かれるほどだ。
「お前ら、勝手に人の家に上がりこんで何やってんだよ」
なんか妙に盛りあがってたみたいだけど。
「そんなに怒らなくてもいいだろ、豹――」
ニヤリと笑いながら俺をなだめる大牙。
福満財閥の子息で、見た目がチャラい割りには、医学や薬の知識に精通している。
寝起きで機嫌があまりよくないときに、テンションの高い大牙の声を聞くと、いつも手が出そうになるところだけど……。