灰色、青色、白色。
度々色の変わる景色に、あぁ、ここは夢の中なんだと実感する。しかし、なぜか心は落ち着いているようで。ただ無音の中で目の前の揺れる波を眺めていた。
ふと、隣から気配を感じた。しかし一点から視界を動かすことができない。ただ、視界に移るのは広がる海と、カーディガンの端。そして、何故か特別であるかのように色付いた桜色の貝殻。
不意に隣の人物が動き、海に足を浸した。そして、私に手を伸ばす。まるで、一緒に泳ごう。と言っているように。もしこのまま身を委ねられたのならどれほどいいことか。

少しづつ、少しづつ。

今日も視界が霞んで、やがて真っ黒になっていった。