一応頭と胴体は繋がっているようだけど、おじさん大丈夫かな。
憑依されている一般人だよね。
「そ、そりゃあ、さ、響とそう言う関係になれたら嬉しいなー、なんて、思ったことがないなんてことないんだけどぉ」
両手を赤らんだ頬にあて、体をくねらせる柚珠はとても乙女である。
「……っ、ゴホッ! 神水流響っていえば、根暗な男のはず。これはどう見ても美少女!」
「………はぁ?」
いつもは隠れている響の目がギロリとおじさんを睨んだ。
「落ち着けよ響。その姿はどう見ても美少女だ」
「………殺されたいの?」
「おっと、殺すなら相手が違うだろ」
先輩はくいっと柚珠を指差す。
柚珠が響を美少女にしたのはそうだけど。
先輩はいつの間にか響からくすねた試験管の中身を、満身創痍なおじさんにぶっかける。
淡い光を放ち傷が完全に回復したおじさんの肩を雷地が踵で踏みつけた。
「おっと、無駄な抵抗はやめなよ? でないと肩の骨、粉々になるからねー」
おじさんの頭側からやってきた常磐の両手には、五月人形や市松人形の首。
「呪いの人形は全て破壊した」
「クソっ!」
おじさんの顔が痛みと悔しさに歪んだ。
それを愉快そうに見下ろす先輩たち。
ここだけ見ると、どっちが悪人かわからないなぁ。
「俺たちの勝ちだ。知ってる事、話してもらう」
「………ふんっ、いいだろう。我らが思想を広めるも務めよ」
「わー。この状況で偉そうー。それじゃあー………」
感嘆の息をもらす雷地が、まずは質問する。