4時間目の終わりに榎本が食堂行こうと誘ってきた。
「弁当忘れてきた」
「お前、ホームルームからずっと寝てるのに腹はへるんだな」
「俺、燃費わるいんだよねー」
食堂に初めて行ったが、買う人の列が廊下までつづいていて大量の人で座る席などほとんど見当たらない。ものすごい人口密度だ。
好んで来るようなところではない。
榎本は全く気にしないでどんどん奥へ進んでいった。俺はそのあとをついていった。
「三宅さん!」
「おっ、榎本」
榎本は先輩っぽい人の隣に座り話し始めた。3年生だろうか。
「記録会のプロ見ましたよ。一般混じって2組の真ん中ってすごくないっすか。それと……」
俺は向かえの席に座り静かに弁当を食べ始めた。榎本から何か話題をふられないようにケータイをいじりをしながら…
「そういえば、コイツも陸部入るんですよ。陸上は初めてで中学までは確か理科部とかやってたんですよ。だろう長谷川」
ちょ、いつ入るなんて言ったよ俺、ていうか理科部じゃねーし。
「長谷川君かー、俺は2年の三宅ね、よろしく。それじゃ俺行くわ」
「バイバイ三宅さん」
三宅さんは席を立つとスタスタと食堂を出た。立ってみるとすごく背が高い、やっぱりスポーツやってる人は体格がいいな。
こんなことに感心している場合ではない。