あの日の
笑顔を
手紙を
読んで思い出す
叶えたい願いが
伝えたい想いが
たとえ届かなかったとしても
そうして僕は静かに目を閉じた……
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〈本当の最後の日記を読んだ時、あなたに届く暗号のメッセージ〉
今はもう会えないけれど、どうしても会いたい人があなたにはいますか?
一緒にいられないのならせめて、その人の生きる希望になりたいと思った。
七夕の日に伝えたかったこと……
どこまでもすれ違う二人のそれぞれの思い出が織り成した奇跡の約束……
二人の主人公が何を思い、なぜすれ違ってゆくのか……
二つの視点の物語が交差していく中で現在過去未来の全てが繋がり、気付いた不思議な声の謎と日記の秘密、最後に伝えたかった暗号の想いとは……
読み進むごとに題名やさり気ない言葉の本当の意味に気付く、
〈誰も知らないある歌と様々な奇跡の出会いから生まれた『明日への希望』の物語〉
ー16歳、春
「春香……行くよ?」
昼休みが終わる頃、音楽室の外から友人の声がする。
「うん。今行くからちょっと待って……よし……できた」
高校1年生の頃、都内の女子高に長時間かけて通っていた私は突然、作曲を始めた。
ピアノは小学生の頃に習っていたが、不器用さが功を奏して全く上達しなかった。
練習しても必ず間違える自分に呆れて結局やめてしまい、ピアノなんて嫌いだったはずなのに……
4月になったある日、突然メロディーが頭に浮かんできた。
初めて作った曲は『空を見上げて』
思えば誰かに何かを伝えたくて曲を作り始めたその日から……
「始まりと終わり」の奇跡は始まっていたのかもしれない……
○……春香視点、■……悠希視点