ことは、驚くほどスムーズに進んでいくのだ。

私の戸籍謄本発行。
もしかしたら途中で発行不可になったりして……と思ったけど、なんてことはない。ぺろんと印刷されて呆気に取られる。

「発行できた?」
「わあっ!?」

いきなり顔が右肩から現れてびっくりして悲鳴をあげる。

「で、できました、けど……!」
「やり方教えて……あ! 君が『橋田美桜』だったのか!」
「え?」

私の書類を見てそう言う北条君。
私の名前、ようやく今知ったんですか……。

「君いっつも俺の下にいるよな。しつこいくらいに」
「……すみません、しつこくて」
「いや、賢い女は好きだよ」
「……あの……っ、距離、近くないですかっ?」

背中にくっつきそうな距離に彼がいる。
こんなところでこんなことをして、誰かに見られたらどうするの……?
前も思ったけど、距離感おかしい……!

「そうか?」
「そうかじゃないです! は、離れてください……っ」
「今から結婚するのに?」
「そういう問題じゃないです……!」

背後から横に行った北条君に発行方法をレクチャーする。

「ここを押して、カードを入れて……」

手に購入前のホッチキスとボールペンを持っている北条君。
まさかそのホッチキスは契約書の製本をするため?
ペンは契約書に字を書くため?

「あ、婚姻届これでいいじゃん!」

たくさんの雑誌が並んでるラックに結婚情報誌には『今月だけの特別付録♡ハッピーピンクの婚姻届』と書いてある。