まずい。
テイルが魔王を倒してしまった。
このままでは、王様の子供とテイルが結婚してしまう……


「ありがとう、ガーゴイル」


テイルは笑顔で魔族にお礼を言う。


「君のおかげで、フィアーバよりも先に魔王討伐できたよ」

「えっ……あはははっ!?ま、まぁ?おれの言う通りにしたおかげでもあるしぃ?」


魔族も一枚岩ではないのか?
でもガーゴイルのヤツ、魔王が倒されて、叫んでいたよな。


「ガーゴイル!!」


叫び声と同時に、テイルが壊した壁が、さらに壊された。
壊された壁の向こう側には、無数の魔族がいる。


「貴様……人間側に寝返ったというのか?」

「ちちち、違うってば~!」


ガーゴイルは、魔族たちの方へ飛んで行く。


「あの人間の見方をしているフリだったんだよぉ!魔王城に案内すれば、魔王様に倒さると思ってぶげっ!?」


言い訳をしているガーゴイルを、俺はハンマーで倒した。
魔族たちが、臨戦態勢に入る。


「フィアーバ、気を付けろ!そいつら、結界を張っている魔族だ。強いぞ!」


ムンターさんの忠告は、今の俺にはあまり意味がなかった。