テイルがギロリと俺を睨む。

まさか、テイルがアイツに好意を寄せていたとは思いもしなかった。
どこで会った?
……今はどうでもいい。


「ち、ちょっとぉ、待ってって~」


壊れた壁から、羽の生えた小さな魔族が姿を現した。


「あのねぇ、魔王は本当に強くってぇ……」


その魔族は、床に転がった魔族を見て、目を見開いた。


「まっ、魔王様ああああぁぁぁぁあ!?」


え!?
さっきテイルが倒したのが魔王だったのか!?


「うそ!?え!?テイル、本当に倒しちゃったの!?」


小さな魔族が、テイルと床に倒れている魔王を交互に見ている。

なかなか倒せないと思っていたが、まさか魔王だとは思わなかった……


「魔王だったんだ……」


テイルも知らなかったらしい。
ムンターさんも、「え?魔王?嘘だろ……?」と、驚いている。

人間側が、誰一人として魔王と気付かずに戦っていた。