時間は、午後二時開演だから、ランチも一緒に食べれる相手がいい。

由愛の同級生のママ友、絢美(あやみ)さん!

最近転職した大手本屋のバイトに毎日シフト入れられてきついって言ってたっけ。

忙しい人だから週末はゆっくりしたいかぁ。

あとは……。

大学時代からの親友、幸恵(ゆきえ)

私と同じで舞台好き!

いや、まてよ。

この間連絡したら、お義母さんが圧迫骨折したとかで毎日家に通ってきついって言ってたっけ。

はぁ。

私に付き合ってくれる友人は他にいないのか!

んーっと。

思い出すのも一苦労。

やっぱり彼女しかいないか。



……我が母。

膝が痛い、腰が痛いと言うので、連れ出しても結構気を遣う。

でもまぁ、ランチ食べたら、舞台はずっと座って観てるだけだしそれほど体はきつくないかもね。

そうと決まればすぐに予定を押さえなくちゃ。

そこかしこ痛いわりに、結構な率で予定入れちゃってる人だから。

「もしもし?お母さん?」

『ああ、典江かい?どうしたの?』

「あのさ、今週末の土曜日、一緒に舞台観に行かない?」

『土曜日?ちょっと待ってよ』

手帳をペラペラめくる音が聞こえる。

『あぁ~……』

え?もしや既に予定あり?

「大丈夫。行くいく!」

大丈夫なんかい!

最近反応が変なんだから。予測不能な時があるんだよね。

「じゃ、空けといて」

『ありがとね。舞台なんて久しぶりだわ。誰の舞台?』

「劇団はやぶさ」

『はやぶさ……?鳥?』

まぁ、鳥であろうとなかろうとどうでもいいんだけど。

「ほら、白波良太って知ってるでしょ?あの俳優さんが出てる舞台」

『白波……?知らないわ』

がっくり。

たぶん知らないような気はしてたけれど、劇団はやぶさで唯一メジャーな俳優さんなのにその人知らないって。

「ま、いいわ。舞台の話自体はたぶんおもしろいはずだから」

『はいはい。楽しみにしてるよ』

「また連絡するね。ばいばいー」

はぁ。

なんか疲れる。

せっかくのチケット。

母でよかったんだろうか。

もう少し一緒に盛り上がれる相手がよかったわ。

まぁ、旦那と行くよりは数倍ましだけどね。