翌日、絵翔を放って1人で家に帰ると、早速部屋の中央にイーゼルを出してキャンバスを置く。
それから、机の上に伏せて置いた紙を持って、キャンバスの前に立った。
真っ白なキャンバスに、失敗の色は塗れない。
だから、昨日はさんざん紙に下書きをしたんだけど…。
「やっぱり、こんなのじゃ…」
絵翔の絵に敵わないのは最初から分かってる。
でも、どうしても最高の芸術と比べてしまう。
審査するのだって、絵翔自身だ。
下手な絵を描いたら、一生絵を撮らせてくれないかもしれない。
…絵翔の許しがなければ、私の芸術は表現できないんだ。
馬鹿だな、そんなことにも気づいてなかったなんて。