「ねぇ、この女の子、モデルはもしかして私?」




 涙をごまかすように、からかうような声音で聞けば、絵翔(かいと)は机の前まで歩いて、イスに座った。




「そうだよ。あんな体験させられたら、そりゃ印象に残るに決まってるだろ」




 私、自分の影が写らないように、場所選びは慎重にしたんだけどな。




「あはは、もしかして絵翔(かいと)って私のこと好きなんじゃないの?」


「そんなわけないだろ……子供の頃から一緒にいるやつを、恋愛対象として見れるかっての」





 じゃあ、なんで女の子の方が、花火より目立ってるの?

 この絵の主題、花火じゃなくてこの女の子じゃん。

 にっこり笑っちゃってさ。