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けれど、実際は大成功だった。
由佳の思惑通り岩上を追い詰めることができて、更にはお金も手に入る。
こんなに素晴らしいことはなかった。
「お金は和美と進で折半すればいいから」


和美へ向けてそう言ったときの驚いた顔も面白かった。
本当に自分たちふたりだけで使っていいのかと何度も確認された。
お金は確かにほしいけれど、今回のことは間違いなくふたりの功績だ。
久貴は不服を言うかもしれないけれど、頑張った人にご褒美が出るのはごく当然のことだった。


それに、由佳にとってはお金よりも岩上が苦しんでいる姿を見るのが一番の楽しみだったのだ。
岩上がどんな風に苦しんで、どんな風に泣いているのか。


それを見ることができればもう満足だった。
だから、ここ最近の由佳は放課後になるとすぐに職員室へ向かうことが多かった。
職員室横にあるトイレの個室に隠れて、岩上が帰宅する時間まで待機するのだ。


岩上は帰宅前に必ずこのトイレに立ち寄ることを知っていたから、後をつけることも安易だった。
更に岩上はバイクや車を使わない。