次の瞬間にはバチンッと大きな音がして和美の左手は切り落とされていたのだ。
ボトリと床に落ちる左手。
傷口からボトボトと落ちてくる真っ赤な血。


それらを由佳は信じられない思いで見つめていた。
和美の体が大きく揺れたかと思うと、そのまま横倒しになって倒れ込んだ。
キツネ面は、もうそれを元通りにしようとはしなかった。


落下した和美の左手を持ってクスクス笑い、教室前方に置かれているピアノに近づいていく。
そして切り落とした手を使ってポンポンと鍵盤を叩き始めたのだ。
滴ってきた血で白鍵が赤く染まっていく。


それでもキツネ面はなにも気にしなかった。
楽しそうに、まるで子供が遊んでいるような調子でピアノを引く。
『ピアノの音!』『でもその前になにか大きな音がしたよな?』『バチンッってしたな。スタンガンか?』


コメント欄は回答で埋め尽くされていく。
「はい、そこまでです!」
キツネ面がピアノから離れてカメラを持つ。


「では正解発表のお時間です!」
カメラは横倒しに倒れた和美を映し出す。