この頃はまだ岩上も授業を中断されるたびに注意してきていた。
だんだんと由佳たち４人がいうことを聞かない生徒だということはわかってきたと思うけれど、それでもまだ改善の余地はあると思っていたのだろう。


「うざ」
由佳が岩上に視線を向けて呟くのを、進は聞いた。
それはただ教師がうざいというのを追い越したような、心の深い憎しみを抱いているような一言だった。


だから、ずっと気になっていたのだ。
由佳と岩上はなにかあったのではないかと。
だけど実際に由佳にそう質問をしても「ただウザイだけ。私の嫌いなタイプなんだよね」と、答えるだけだった。


それが本当かどうか、今でもわからない。
「岩上て新人だよね？　もう少し現実教えといたほうがいいんじゃない？」


ある日の休憩時間、面白半分でいい出したのは和美だった。
和美も久貴も、由佳が岩上のことを疎ましく感じていることを知っていたから、それをネタにした遊ぼうとしたんだろう。
「現実教えるって？」
メーク雑誌を読んでいた由佳が顔を上げる。