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それは2年生に上がって一週間ほど経過したときのことだった。
あの頃にはすでに由佳がクラスの中心になり、授業にも支障が出る程度の騒がしさがあった。
「進、今日の放課後空いてる?」


「空いてるけど、なに?」
「買い物付き合ってほしいんだけど」
「あぁ、いいよ」


由佳からの誘いを断ることは滅多になかった。
由佳がクラスのリーダー格だからということを差し置いても、進は由佳のことを気に入っていたからだ。
どうしてそんなに由佳に惹かれてしまうのか、自分でもよくわからない。


きっと、由佳は自分でも気がついて居ない間にそれだけの魅力を身に着けてきたんだと思う。
派手だし目立ってるし、授業もろく聞かないし、だけどなんだかほっておけない。
そんな危うさがある子だった。


由佳と一緒にいて由佳のことをもう少し知りたい。
進はそんな風に感じていた。
「そこ、ちゃんと授業を聞きなさい」