「はい、1分経過しましたので、回答を締め切らせていただきます」
キツネ面の言葉に由佳はハッと息を呑んだ。
こんなことまで配信しているのなら、きっと誰かが通報してくれるはずだ。


「この問題は結構難しったみたいですねぇ? 肉を切る音っていうのが一番近いかもしれない。それでは、回答を見てもらいましょう!」
キツネ面がカメラを手に持ち進を移し始めた。


「みなさん見えてますかぁ? さっきの音はナイフで頬を切った音です。肉を切る音でも正解でいいかもしれません!」
カメラは容赦なく傷ついた進の様子を配信する。


しかしそのコメント覧を見ると『なぁんだ、そういうことか』『問題難しすぎ!』と、クイズに関するコメントばかりが流れていく。
「ちょっとは難しい問題にして振り落としていかないと、10万円の賞金だってあるんですからぁ」


キツネ面はのんびりとした口調で言って、カメラを定位置に戻した。
「さてさて、次はちょっとお楽しみタイムと行きましょうか」
キツネ面はそう言うとカバンの中から1枚の紙を取り出した。


それは普通の紙よりも分厚くてしっかりしている。