「第7問目です!」
キツネ面はカバンの中から小型のナイフを取り出すと進へと向き直った。
進の視界にナイフが入り、目を大きく見開く。


呼吸は乱れて鼓動は早いのに、相手に文句を言うことすらできない。
椅子に座らされたまま、硬直してしまう。
ナイフの先端が徐々に近づいてきて、先端がギラギラと攻撃的な光を放つ。


進がギュッと目を閉じた次の瞬間、ナイフが右頬を切り裂いていた。
グシュッとか、ザッとか、そんな感じの音がして進が一瞬体を跳ねさせる。


由佳はとっさに目を閉じて微かな悲鳴を漏らした。
そっと目を開けてみると進の右頬は大きく傷が開いていて、血が流れ出していく。
それは白い頬と首筋を伝って服へと吸収されていく。


「さて、今の音はさすがに難しいですかねぇ?」
キツネ面はさっきまでとなにも変わらない様子で画面へ向けて問いかけている。
その横で進はグッタリと頭をたれて動こうとしない。


進、大丈夫なの!?
そんな声をかけたいけれど、かけることもできない。
久貴と和美も真っ青になって小刻みに震えるばかりだ。