キツネ面は椅子ごと進の体を引きずるようにして配信機材へと近づけていく。
進はなおさらに暴れて椅子が倒れてしまいそうになる。
それを見たキツネ面がため息を吐き出す音がこちらまで聞こえてきた。


キツネ面はカバンの中から四角い機械を取り出すと、その場でスイッチを入れてみせた。
先端がバチバチと火花を散らす。
それは映画やドラマでしか見たことのないスタンガンだった。


４人の血の気がサッと引いていく。
進がイヤイヤするように強く左右に首を振ってみせるが、キツネ面は容赦なかった。
スタンガンを進の体に押し当てるとバチンッ！　と１度大きな音を立てたのだ。


瞬間、進の体から力が抜ける。
頭をたれて抵抗しなくなったその姿に一瞬死んでしまったのかと心配したけれど、進はすぐに目を開いた。
「では、準備が整いました」


配信者が画面へ向けて告げる。