キツネ面は和美の前で立ち止まると、その頭を乱暴に踏みつけた。
「ぐっ」
と低い声を上げて和美が顔をしかめて目を開ける。


「いつまで寝てんだよ」
キツネ面はボイスレコーダーをお面の中に設置しているのか、その声は動画で聞いた時と同じで、性別がわからいものだった。
和美が痛みで身を捩りながら周囲を確認する。
由佳と目があった瞬間、その目が大きく見開かれた。


次の瞬間身を捩って逃げ出そうと試みるけれど、そんなに簡単に外れるような拘束ではない。
結局なにもできないまま、時間だけが過ぎていく。
キツネ面は4人全員が目を覚ましたことを確認すると、4つの椅子を持ってきた。


最初に久貴に近づくと「立て」と、命令する。
手足を縛られていても、運動神経のいい久貴なら勢いをつけて飛び跳ねるように立ち上がることができる。
そのまま椅子のひとつに座らされた。


同じように進むも椅子に座らされている。
女子ふたりはさすがに無理だと判断したのか、キツネ面が手を貸してくれた。