頭が重たくてぼんやりする。
それでも意識は徐々に覚醒していき、由佳はゆっくりと目を開けた。
霞む視界の中で天井を見上げるととても高く感じる。


この白い天井はどこの天井だろう?
自分の部屋でも、家のリビングでもないようだ。
ふと意識が鮮明になってきたとき、鼓動が早鐘を打ち始めた。


柔らかな絨毯が敷き詰められた部屋には見覚えがある。
ここは学校の音楽室だ。
視界の中に見えるのは机と、奥の方には楽器が並んでいる。


一応自分の知っている場所にいることに安堵したものの、どうしてこんなところで寝ていたのか思い出せない。
体は重たくて、目を閉じればすぐにでもまた眠りについてしまいそうだ。
そんな強い眠気を無理やり追い払おうと、両手を持ち上げようとした。


だけど動かない。
両手、両足が縛られている。
思わず悲鳴を上げそうになったけれど、声も出ない。