「今の!」
叫んだのは由佳だ。
由佳と和美は大きく目を見開いて顔を見合わせる。
「今のラクガキって、私と由佳が家庭科室に書いたやつだよね?」


和美の言葉に由佳は何度も頷いた。
背中に妙な汗が流れて、呼吸が荒くなるのがわかる。
配信者はどこかの学校にいる。


それはもしかしたら、自分たちの高校かも知れないのだ。
「まじかよ。今学校に行けばこの配信者に会えるってことか?」
久貴も目を輝かせて興奮している。


「きっと、そうだよ!」
「待てよ。あれくらいのラクガキ、どこの学校にだってあるだろ」
進が全員を落ち着かせるように言う。


だけど由佳と和美は同時に首を振った。
「あれは間違いなく私と和美の文字だったよ。昨日の家庭科の授業中に書いたんだから、間違いない」
似たようなラクガキは全国にあるだろうけれど、昨日自分たちが書いたものを見間違えるとは思えなかった。


そう思っている間にイヤホンを取った久貴が立ち上がっていた。
「それなら直接行って確かめてみるか」