でもそれが自分たちにとって有利に働いたなんて、考えてもいないことだった。
「それで俺たちに有利になったって言うなら、残った100人全員が有利になったと思ってるってことだろ」


進が左右に首を振って説明した。
由佳がどうして自分たちだけ特別だと感じているのか理解できない。
ここまでスムーズにクイズが進んでいるから、逆に疑わしくなっているのかもしれない。


「だけどさ、私達は学生で今までの音もほとんど聞き馴染みがあったし、それに……」
そこまで言って由佳は言葉を切った。
第3問目の問題を思い出す。


あのときの回答は上靴で歩く音と、ロッカーを閉める音だった。
そのときに思い出してしまった光景が今でも脳裏に焼き付いて離れない。
何度頭の中から振り払っても、どうしてあんな問題がでたのか疑問が拭いきれなかった。


「ねぇ、やっぱりなにかおかしいと思わない? 問題の内容とかさぁ」
「そんなに心配なら次の問題で不正解になったらいいんじゃねぇか?」
提案したのは久貴だった。


しかし由佳は目を大きく見開いて黙り込んだ。