「残り100人か」
久貴が舌なめずりをした。
10万円がすぐ目の前まで迫ってきているような感覚だ。


「だけど同じ回答をした人が100人もいたってことだよね? 手強いんじゃないかな?」
和美は現実的な意見を持っているようで、久貴は顔をしかめた。
「その100人の中に俺たちもいるんだ。もっと自信もてよ」


「そうだけどさ……」
「それより、ちょっと気になることがあるんだけど」
2人の会話を遮るように言ったのは由佳だった。


「どうした?」
進が由佳へ視線を向ける。
「ここまで5問の問題を回答してきたけど、私ら4人は誰も脱落してないよね? それって偶然なのかな?」


その問いかけに他の3人は目を見交わせた。
「私達は回答をあわせてるから同じように勝ち残るのは普通でしょう?」
和美は由佳の言いたいことの意味がわからずに首を傾げている。


「それはそうなんだけど。例えば今の答えだと、配信者が私達に有利になるように他の人をふるい落としたように見えない?」
その言葉に和美は呆然として黙り込んでしまった。
確かにさっき配信者は詳細まで記入した人だけを残して、他の人たちを脱落させた。