由佳の手元でめくられていく本はあまり音を立てず、大人しい。
時折紙同士が擦れ合う音が聞こえてくるくらいだった。

動画内で聞いた音は、どちらかというと大きめの本、雑誌や教科書をめくる音に近かった気がする。
そうしている間にも時間はどんどん過ぎていく。
1分間という回答時間に焦りの色が初めて見えた。


「舞台が学校だとすれば、教科書をめくる音かもしれない」


発言したのは進だ。
教科書から雑誌サイズの大きなものもあるし、めくったときにペラペラと音が鳴るものもある。


「じゃあ、それで!」


もう時間がない。
4人は今だした答えを慌ててコメント覧に書き込んでいく。

その数秒後で『はい、そこまでー!』と、配信者から回答のストップがかかった。
どうにか全員滑り込みで回答を書き込むことができてホッと胸をなでおろす。

由佳と和美は目を見交わせて苦笑し合った。
思ったよりも白熱してきているので、これから先も面白くなっていくかもしれないと期待が膨らむ。


『今回はほとんどが本をめくる音、という回答になっていますね! でもごく一部の人たちが教科書をめくる音と書かれています。本を更に詳細に分析してくれたんですね、ありがとうございます! さて、問題はこれが正解かどうかですねぇ』