この音も第4問目のときと同じでしっかり耳を済ませておかないと聞き取ることができないくらい、小さな音だ。
由佳が眉間にシワを寄せてスマホに耳を近づけた。

パラパラというその音は、紙をめくっている音のように聞こえてくる。
配信者は次の問題も簡単かもしれないと言っていたし、きっと本をめくっている音なんだろう。
そう気がついたとき、音は消えた。


「今のは読書する音でしょ」
和美が自信満々に言う。
「たぶんそうだろ」
久貴も同意見みたいだ。


そんな中由佳は1人だけ首を傾げた。
確かに本をめくる音だと思ったのだけれど、普通の本だとすれば少し違う気がしたのだ。

「進、なにか本貸して。実際にやってみるから」
由佳に言われて進は本棚にある文庫本を一冊由佳に手渡した。

由佳はそれをペラペラと自分の手でめくっていく。
「やっぱり違う気がする。文庫本だとサイズが小さいから、あんまり紙をめくるような音はでないんだよね」

「そういわれればそうかも」