音を聞き逃さないように、4人全員が無口になる。
岩上の授業中では考えられないほど静かな空間になる。

そのまま待っていると画面からかすかな音が聞こえてきた。
それはちゃんと耳を済ませておかないと聞こえてこないほど小さな音で、最初に気がついたのはイヤホンをつけて視聴している久貴だった。


「これ、チョークで黒板に文字を書く時の音じゃないか」


微かに聞こえてくるカッカッという音は確かに聞き馴染みのある音だった。
「本当だ。そんな感じがするね」
和美が何度も頷く。


「やっぱり配信者はどこかの学校で動画を撮ってるみたいだな」
進も今回の回答は同意見みたいだ。
『はい、今回は簡単だったかなぁ?』


音が鳴り止んで配信者の声が聞こえてくる。
解答欄にはすでにチョークの音という言葉が多く見られていた。
4人はそれぞれに回答を書き込んでいく。