だけど実際は違うかも知れない。
そこまで単純な問題ではないかもしれない。


「他に、なにか似た音ってあるか?」


久貴の問いかけには誰もが黙り込んで答えることができなかった。
自分たちは学生だからシューズで廊下を歩いている音や、ロッカーを強く締めた時の音だと感じたけれど、大人だったらまた別の意見かもしれない。


「考えてる時間はもうほとんどない。とにかくなにか書き込まないと」


回答時間は刻一刻と過ぎていき、残り30秒ほどしかない。
これだと書き込むだけの時間しか残されていない。

そう考えた4人は最初に感じた回答を書き込むしかなかった。
誰か1人でも別の回答を用意しておいて、その人が生き残ってくれればいいと思っていたけれど、そんな準備をする時間もない。


「あ~あ、やっぱり賞金10万円のクイズはそんなに簡単じゃなかったかぁ」


回答を終えてから由佳が盛大なため息を吐き出す。


「まだ不正解ってきまったわけじゃないんだから」


横から和美がなだめるように言うけれど、和美の表情も浮かない様子だ。
みんな、ここで自分は脱落してしまったと思っているみたいだ。