『1問目から結構難しかったですかね? 今ので100人近くの方だ脱落しました』

「100人だって。ライバルがぐっと減ったね」


和美は嬉しそうに手を叩く。
だけどこれからが本番だ。

音だけでなにをしているのか当てるのはそんなに簡単なことじゃない。
難易度が上がれば、自分たちだった柄生き残れる可能性は低くなっていく。

本当に賞金10万円を手に入れたいのなら、油断大敵だ。


『それでは2問目に参りましょう!』


配信者の声に4人の表情が真剣なものに代わり、私語が消える。
次に聞こえてきた音は水音だった。

水道からチョロチョロと流れ出ているような、涼しげな音が聞こえてくる。
由佳は音をもっとよく聞くためにスマホに耳を近づけて目を閉じた。

頭の中に浮かんでくるのは、やはり水を流している光景だった。
水がシンクへ向かって落ちて行っているのではないだろうか。

そう思ったとき、今度はカチャカチャとなにかが触れ合うような音が聞こえてきた。
続いてキュッキュッとゴム靴で廊下を歩くような音。