火にくべた木が弾けるような、だけどもっと雑音のないパチッと言う音。
どこで聞いたんだっけ?
考えている間に音はすでに止まっていた。


「今の音聞いたことがあるけど、思い出せない感じ」

「私も由佳と同じ。どっかで聞いたことあるんだけどなぁ」


ふたりとも首をかしげる中、進が「囲碁とか、将棋を差す音に似てなかったか?」と聞いた。


「おぉ、それだ! 将棋の音だ!」


1人だけイヤホンを付けて聞いていた久貴が大きな声で言った。
自分でやったことはないけれど、若い棋士が有名になったことでテレビで何度も見たことがある。

それで聞いたことがあったみたいだ。


「それじゃ、全員の回答は将棋をさしている音でいい?」


回答できる制限時間は1分しかない。
由佳が時計を確認して言った。


「あぁ。ここは万丈一致で大丈夫だと思う」


進が自信満々に答えたことにより、それぞれが自分のスマホからコメント欄に回答を書き込んでいく。
他の人のコメントも見られるようになっているけれど、そのほとんどが将棋という回答になっていた。