『刺された!』『嘘でしょ? 復讐失敗?』『じゃあ警察に通報ってことで』
コメントの一部を読み取った進はすぐに由佳に駆け寄った。


血に濡れたナイフで拘束を解いて立ち上がらせる。
「無理……歩けない」


長時間拘束されていた両足はすぐにはいうことを聞いてくれなくて、進に引きずられるようにして音楽室を出る。
「ここにいたら捕まる。逃げなきゃ」


進はすでに遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきていることに、気がついていたのだった。